【ランドオブザデッド】はゾンビ版忠臣蔵だ!【ネタバレ感想】
ゾンビにより崩壊した世界を舞台に、生き残った人間たちの争いと、知能を付け始めたゾンビたちお話。
ゾンビ映画なのでグロ描写もありますが、笑いと哀愁、そしてアンチヒーロー物のエッセンスまで詰め込んだ盛りだくさんな映画です。
前作のゾンビ3部作の最終章『死霊のえじき』の公開から20年の時を経て、再びロメロ監督がゾンビ映画を製作しました。ゾンビ好き界隈では超話題になり、鳴り物入りで公開されました。
そんなランド・オブ・ザ・デッドの感想を述べていきます。とうぜんネタバレ注意なので、未視聴の方は気を付けて下さい。
ランド・オブ・ザ・デッドの動画ページ↓
概要
予告編動画
公開:2005年
監督:ジョージ・A・ロメロ
キャスト:サイモン・ベイカー、ジョン・レグイザモ、アーシア・アルジェント、デニス・ホッパー、ユージン・クラーク、トム・サヴィーニ、などなど
同監督の今までのゾンビ3部作と、ゾンビの設定や世界観は共通している。
ストーリーはどの作品とも直接の関係性はないので、本作だけでも十分に楽しめます。
あらすじ
ゾンビが世界中を覆いつくして、およそ3年後、生き残った人類は3方向を川で囲まれた場所に街を気付いて、何とか生き延びていました。
その街はカウフマンが治めていて、一部の金持ちはタワマンに住み、貧困層はスラムで生活していました。2極化が激しい街の住民。上流階級は悪党で、貧乏人はスラムと分かりやすい構図です。
街の外へと装甲車に乗り、支援物質を探しにいく傭兵集団は、ゾンビを殺戮しながら、物資を集めます。
傭兵たちに仲間を殺された恨みから。ボスゾンビのビッグダディが、ゾンビ仲間を引き連れて復讐にやってくると、街中は大パニックに……
ランド・オブ・ザ・デッドの感想
ランドオブザデッド(2005年)は2020年のアメリカを描いてた。清潔で安全なビルに籠もる富裕層の命で危険を犯し旧世界の物資を集めさせられる者達。街に溢れ死に怯える貧民達。封鎖の向こうにはゾンビの大群。ロメロ監督は死して今も生者と死者の痛烈な寓話として現代の我々に文明社会の警鐘をもたらす pic.twitter.com/dcDTn3wDlg
— 裏庭映画保存会 (@uraniwamoviecom) March 23, 2020
ロメロ監督のゾンビ映画は、題材としてゾンビを扱いつつも、人間という存在の定義について、哲学的な何を考えされてくれます。
本作では、死霊のえじき同様に、劇中でゾンビが知能を付けていく過程が面白いです。知能だけじゃなく、怒りや悲しみの感情がゾンビにもあるのが分かります。
ただし、この描写は、死霊のえじきでバブ君が知能を付けて、最後には銃をぶっ放していた時と同様に、物議をかもし賛否両論となりました。
ゾンビが銃をぶっ放した日には、人間に勝ち目はなくなるので「ゾンビに知性なんていらない!」そう言う人の気持ちも分かります。
本作が公開された2005年には、たくさんのゾンビ映画が世界中にあふれかえり、ポピュラーになっていました。それに王道のゾンビ物はロメロ監督が、一年前の2004年に『ドーン・オブ・ザ・デッド』のリメイクをしていて、そこで存分に走るゾンビの恐怖を描けていくれています。
なので、本作はゾンビ映画として、従来の作品とは違ったアプローチがなされていて、よりロメロ映画らしい作品になったんでしょう。
ラストシーンで、街から去っていくゾンビと主人公たちの、哀愁ある終わり方が良かったです。
良かった点
- 貧困問題とかメッセージ性が強い
- アーシア・アルジェントが可愛い
- 本当は生きている人間の方が怖いが存分に描かれている
悪かった点
- 登場人物たちの話がややこしい
- 前のゾンビ3部作と比べると何か違うと感じる
- チョロが見ててムカつく
印象に残ったキャラやシーンなど
ビックダディー
この映画の真の主人公はこのゾンビだと言っても過言ではないと、視聴した人が、ほとんが思うでしょう。それほどまでにボスゾンビのビッグダディは貫禄がアリアリで、キャラが立っています。
特にゾンビ軍団を率いて川を渡るシーンが印象的で、出エジプト記で海が割れたモーゼへのアンチテーゼに見えます。
神の加護を受けたモーゼなら、海がわれて民衆を導けますが、ビックダディーはゾンビなので神の加護なんてあるわけなく、とうぜん川が割れません。
それならばと、ボスゾンビ自らが率先して川に飛び込んでいきます。ゾンビではありますが、仲間の復讐のために勇気ある行動をとるんですね。その勇気ある行動に仲間のゾンビも続きます。川底を歩いて、見事、ゾンビたちは渡河に成功して、川から上がってきます。
さあ、これからゾンビワラワラの襲撃タイムが始ると思うと、見ている方もテンションが上がります。
ブレイズ
ランドオブザデッドの特殊メイクもトムサヴィーニと決めていたが、ユニバーサル側からニコテロ(ウォーキングデッド担当)起用を要求され断念。
— ゾンビ映画はロメロ (@Zombie_Romero3) August 17, 2020
その代わりにゾンビでサヴィーニが演じた暴走族ブレイズ(ピーターに射殺された)がゾンビ化した姿で登場!#映画好きと繋がりたい #映画好きな人と繋がりたい pic.twitter.com/kxJktJGGT3
ゾンビ好き人では有名な話ですが、映画『ゾンビ』で撃ち殺された、バイク乗り軍団のサブリーダーが出演しています。
これは嬉しい演出で、やっぱりオブ・ザ・デッド シリーズの世界は、繋がっているんだな~と再確認できました。
無法者だった彼も、今ではゾンビになりました。ゾンビになっても荒くれな性格は変わらないが、ブレイズも知性に目覚めています。
的にされたゾンビを発見するシーン
大量のゾンビを逆さ吊りにして、射撃の的として設置されていたのを、ビッグダディが見つけるシーン。
本作では開始早々、ゾンビを虐殺する傭兵部隊など、ゾンビよりも生きている人間が怖いと風刺する描写が多数描かれています。中でもこの生きたまま?のゾンビを射撃の的にするのは悪趣味で、人間の持つ残酷さを表しています。
仲間のゾンビたちに非道な仕打ちをしているのを発見した。ビッグダディの怒りのボルテージはマックスです。もはやゾンビのパレードは仇討に向かう忠臣蔵と言っても過言ではないです。
デッドレコニング号
「ランド・オブ・ザ・デッド」の対ゾンビ車輌。
— mic1138 (@mic11382) May 1, 2018
デッドレコニング号さんが一番!!
#他人がどう思おうとカッコイイと言いたいメカ pic.twitter.com/wRV2kJJo3R
その世紀末な佇まいは、ゾンビ映画というよりも『マッドマックス』。
花火を打ち上げゾンビの注意を惹きつけているすきに、上部ロケットランチャーから強烈なミサイル攻撃で一掃します。デッドレコニング号が通過した後には焼野原しか残りません。
ラストシーンの意味は
街から去る知性のあるゾンビたち、そしてゾンビの集団を「彼等も、行き場所を探しているだけさ」と見逃すライリー。彼はゾンビが知能を身につけてきたのに、劇中でいち早く気付いた人物です。
ライリーは行き場のないゾンビたちに自分の姿を重ねシンパシーを感じたのでしょう。ライリー達は花火を打ち上げつつ北へ、そして、ゾンビたちもライリーを襲わずに、何処へと向かいます……
ゾンビと人間、お互いに相容れない存在ながらも、何か感じるモノがあったんでしょうね。そんな両者は街を出て、別々に自分たちの居場所を探しに向かいます。
こんな人にオススメ
- ロメロ監督の作るゾンビ映画が好き
- ゾンビが大好き
- ゾンビなら何でも良い
本作の賛否両論となっている「ゾンビが知性を身につけていく」この過程が嫌な人以外は、楽しく視聴できます。
シリーズ作品を知ろう
初期のゾンビ3部作として
- ナイト・オブ・ザ・リビングデッド
- ゾンビ(ドーン・オブ・ザ・デッド)
- 死霊のえじき(デイ・オブ・ザ・デッド)
そして2005年の本作『ランド・オブ・ザ・デッド』
- ダイアリー・オブ・ザ・デッド
- サバイバル・オブ・ザ・デッド
があります。
ゲーム化された
本作の前日譚を描いたゲーム『Land of the Dead: Road to Fiddler's Green』があります。言語は英語で、PC版とXbox版があります。
続編の可能性は
本作のリメイクや続編のお話は、今のところはありません。
ランド・オブ・ザ・デッドを視聴するには?
ランド・オブ・ザ・デッドは、U-NEXTやAmazonプライムビデオなどで配信されています。
U-NEXTは31日のお試し無料期間があり、その間ならその他の対象、映画、ドラマ、アニメなどが無料見放題で視聴できます。
Amazonプライムビデオでも配信されています。プライムビデオの映画は会員でなくても、レンタルすれば視聴できます。面倒な会員登録なしで、すぐにサックっと見られるのがいいです。プライム会員は30日間は無料期間で、期間中なら退会してもお金は発生しません。
ネットのサブスクがなんとなく嫌な人は、ブルーレイを買うか、近所のレンタル屋さんに行くと良いでしょう。
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